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暮らし木造温熱環境
あたらしい快適な住まい〜冬暖かく、夏涼しくする [1] 

日本の住まいは高温多湿の夏の気候に合わせて、如何に空気を室内に入れて外に出せるか、つまり隙間風を多くするように造られてきました。隙間風(漏気)が多いことは夏には適していますが、冬には空気が外部へ漏れてしまうので、均一に部屋を暖めることが出来ず、人が暮らす快適な住まいとは言えません。
ここでは、住まいの暑さ寒さが私たちにどのような影響をもたらすのか?また、どのような工夫をすれば良いのか?についてお話しします。

(1)日本の住まい:木造軸組構法伝統工法(曲げ系)
簡潔に日本の住まいついてご紹介します。京都の町屋に多く見られる日本古来の住まいを専門的には伝統工法の住宅と言います。吉田兼好の徒然草の一節にあるように「家は夏をもってつくるべし」に従って造られています。
また、日本で現存する一番古い民家は兵庫県神戸市北区にある「箱木千年家」で、大凡700年前の鎌倉時代に建てられたものです。貴族の住宅の原型としては739年に移築された法隆寺伝法堂があります。このように日本の気候風土に適していて腐った部材を取り換える等メンテナンスができ、伝統工法は長寿命の住まいです。

(2)日本の住まい:木造軸組構法在来工法(剪断系)
私たちの周りにある多くの住まいは、戦後ヨーロッパの住まいを参考にして考案された在来工法と言い、伝統工法とは異なります。伝統工法の良さを取り入れながら筋違いによる耐震性を高めた工法です。しかし部材を取り替えながら長持ちさせる伝統工法の良さが徐々に失われ、隙間風だけが残ってしまいました。そのような住まいは、壁のコンセントや、畳のヘリに手を当てると隙間風があるのが良くわかります。この住宅の平均寿命は27年と言われています。しかし、戦後植林された30年材(現在は60年材)等が使われた住宅の統計であり、現状を表しているものではありません。特に、耐震性は住宅性能評価耐震等級3であれば熊本地震級でも耐えられるように進化しています。また断熱性能を考えると105角の柱より断熱材を充填できる120角の柱で建てた方が良いでしょう。
※曲げ系:曲げモーメントで地震力に対抗する。掘立て柱の鳥居が良い例
※剪断系:剪断力で地震力に対抗する。四角形は押すと形が崩れるが、三角形は強い。
※構法:構造形式による分類
※工法:施工方式による分類
※住宅性能表示制度:住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)10分野の性能評価が定められ、
その中の耐震等級

(3)日本の住まい:木造枠組構法ツーバイフォ(2×4)工法
アメリカの西部開拓時代に馬車に乗せて運べるように規格化されたパネル工法(木造枠組壁構法)です。
初期は2×4(38ミリ×89ミリ×2,440ミリ)の規格材でしたが、現在では2×2〜2×10までバリエーションがあります。増改築するのは難しいですが、耐震性と気密性が高いのが特徴です。最近では壁が厚く断熱性能を考えてツーバイシックス(2×6)工法が多くなって来ています。
アメリカの住宅の寿命は44年ですが、日本住宅の寿命は27年です。

あたらしい快適な住まい〜冬暖かく、夏涼しくする[2]
夏の住まいの快適性の指標について
UR6818OO邸

 

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