Column

温熱環境
夏の住まいの快適性の指標について

今夏は猛暑が続き新型コロナ感染症の影響で自宅で過ごす人が多い。

熱中症対策としてクーラーは欠かせないが、テーブルでリモートワークをしたりキッチンで食事を作るときなど、家族によって活動量や服装が異なり温度設定が難しい。また、温度計と湿度計を見比べても快適さは良く分からない。

乾湿度計

このような時、写真の乾湿度計はアナログだが原理も分かり易く良い。

アメリカ空調学会(ASHRAE)では2005年までは湿球温度が21℃以下を夏の快適範囲としてきたが、詳細な計測が可能な今日では指標も異なる。とは言え住まいの指標はこれで十分だと思う。特に夏の住まいではオフィイスと異なり短パンにTシャツのように簡易な姿の人が多いからである。また住宅の断熱性能などが異なるので各々指標も異なる。

乾湿度計の赤が乾球温度で室内温度を示し、青が水の蒸発により温度が下がった湿球温度である。

もう少し詳しく説明すると、湿球温度は水に浸したガーゼから蒸発する熱(温度)の分だけ低くなった室温であり、蒸発量は室内の相対湿度により異なるので、温度と湿度を考慮した室内温度であり快適の指標になる。相対湿度は表から求めることができる。住まいの環境により乾湿度計の各温度は異なるので、注意深く観察をすれば自宅の快適な住まいの湿球温度を見つけることもできる。

乾湿度計:室内の湿度により水の蒸発が変わる

乾湿度計:室内の湿度により水の蒸発が変わる

温点と冷点

また、人の身体の皮膚には温点と冷点がありそれぞれ周囲の温度を感じることがでる。

ただ、人は寒さにより低体温症や凍傷など命の危険にさらされる事にもなりかねない。また暑さは服を脱ぐ、冷たいものを摂取するそして日陰で風に当たるなど様々な対処ができるため命の危険は少ない。故に冷点は温点の10倍ほど多く身体に分布している。しかし、日陰で休めば回復する日射病から、最近は空気温度が高く命の危険がある熱中症に変わり注意が必要だ。

冷点は温度を感じるが、温点は温度の変化を感じるためその温度に慣れてしまうと暑さの感じ方が鈍くなる。またクーラーを強めに使い続けると、人はその低い室温に慣れてしまい室温と外気温との差が大きくなり過ぎることに陥りやすく、夏も冬と同じヒートショックがあるので気をつけなければならない。

室内の温度が多少高めでも湿度が低ければ快適になる。とは言え高温多湿の日本の夏は湿度を下げられない。そのような時には風が重要な要素となる。体感温度は湿度が20%下がれば1℃下がり、風速1m/sの風が吹けばさらに1℃下がる。最近のクーラの除湿モードは省エネな再熱利用で温度を下げず、室温を少々高めにして湿度を少し低くすることができる。

クーラーの不快な風

クーラーの冷たい風を不快と感じる人が多い。身体の深部温度を一定に保つために人は常に皮膚から放熱をしている。夏は皮膚の露出度が高くクーラーの風が直接皮膚に当たる。クーラーの吹出し温度は室内温度より8℃以上低く、室温は暑いが皮膚の冷点に冷たい風が当たり、身体から放熱を止めようとする。もともと室温が高く放熱をしなければないところへ放熱できずに、身体が混乱し不調になる。それと反対に室温と同じ風を風速1m/sくらいで吹く扇風機や団扇の風は気持ち良い風と感じる。

また常時輻射冷暖房機は遠赤外線で室内全体を冷やした結果、室内の壁や天井そして床からの輻射により冷房をするため、冷たい風によるクーラーより快適である。常時輻射冷暖房機はクーラーの中にある熱交換器のフィンを大きくしたもので、風も音もなく室内を冷やし除湿し、クーラーと同じ省エネなヒートポンプによる理想的な冷暖房機である。

快適性の指標

参考として、快適性を示す指標(PMV)は次の6つの要素から判断される。外的要素として①温度、②湿度、③放射そして④気流、人間側の要素として⑤着衣量と⑥活動量(代謝量)による。着衣量はクロ値0.3(ショートパンツ+Tシャツ)のように表される。活動量は座っているか、作業しているかなどにより代謝量が異なる。

常時輻射冷暖房器

常時輻射冷暖房器

暑さ指数

今年の夏は暑い!

環境省の熱中症予防サイトに暑さ指数が掲載されている。暑さ指数は熱バランスに影響の大きい気温、湿度そして輻射熱(ふくしゃねつ)の3つを取り入れた温度の指標である。さらなる正確さを期するには3つのこれらに加えて風(気流)も指標に影響する。また輻射熱は日射より受ける熱や、地面、建物、体などから出る熱です。温度が高いものからはたくさん出る。

暑さ指数=1(気温の効果):7(湿度の効果):2(輻射熱の効果)

暑さ指数は気温と同じ単位(℃)だけれど気温だけではない。また、指数の7割が湿度が占めている。湿度が高ければ身体を冷やそうと汗をかいても汗が乾きにくくなり、身体からの放熱が少なくなり、体が必要以上に温まり熱中症になりやすくなる。

 

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