1日の暮らしの各場面は南向き指向ですが、あえて南側の深い軒が日射と眺望を抑えて落ち着いた佇まいとなるように考えています。
主な生活は1階で完結しますが、2階は日の光の変化と室内の風の流れを生じさせ、北側の階段より落ちる光の変化が1階の空間に
広がりを持たせ、暮らしがより豊かになることを目論んでいます。
快適な温熱環境を考えて輻射冷暖房による常時暖房としています。付加断熱で熱橋を抑えた断熱性能の向上により冬の暖かさを得る
のは簡単ですが、高温多湿の夏は調湿を建物全体で考える必要があります。
2階バルコニーの防水下地を除いて合板等の建材は使用していません。
納戸の壁と天井は杉板材とし、杉材の床下地の上に栗のフローリングと壁と天井は漆喰とし、
容積比熱と調湿性能を向上させています。
断熱性能を高めたため、室内側には気密シートを貼っていますが壁体内の結露防止のために可変透湿気密シートとしています。
外部仕上げはS瓦に外壁はモルタルの上に無機質塗料で呼吸する自然素材で全体が設計されています。
熱交換型換気扇は顕熱型で常時換気しながら室内を正圧にすることで空気質を良好にします。
各所のガラリを通して床下へ空気を動かし床下の空気を室内と同じ温度にさせています。
気密測定をして気密性能を確認しながらも、建物全体の通風を考えて室内はどこでも常に5月の環境を目指した住宅です。