1.加茂水族館:山形県鶴岡市 竣工:2014年 設計:日本設計
クラゲ専門の水族館。太古からの生物の理解を超えた多様性についての興味深いレクチャーがある。道路からのクラゲを想起させる有機的は外観は印象的。中庭からを囲む海の景色が印象的な丘のような緑地の屋上は、暗い海の中のクラゲと対比する。
2.山居倉庫:山形県酒田市 史跡名勝天然記念物
水運が主流の時代の米集積地として栄え、129年間の最近まで現役だった。米蔵としての工夫は現代の持続可能な手法としても成立する。南側の欅並木は夏の日差しを遮り、土壁の外壁の外側に空気が対流する杉板壁は、日射を遮り倉庫の内部を一定に保つ工夫等の細部も見どころ。
3.鳥海山大物忌神社(吹浦口之宮)式内社:山形県飽海郡遊佐町 創建:862年 一之宮
出羽国(山形県と秋田県)の一之宮である。現在も秋田県には一之宮ない。本社は鳥海山山頂にあり、麓に吹浦口之宮と蕨岡口之宮の里宮が2ヶ所ある。一之宮には延喜式に登載されている式内社と、登載されていない式外社がある。その他に由緒ある神社を新一宮としている。
4.荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館):山形県鶴岡市 竣工:2017年
設計:SANAA+新穂建築設計事務所+石川設計事務所
大体の建物は外観から用途を判断できるが、この建物は違う。公演のない日でも、内部空間は街路のような雰囲気があ
り、最小限に抑えられたデザインは心地良く、随所に開放的で佇むことができる仕掛けが市民に親しまれる建物となる。
5.鶴岡アートフォーラム:山形県鶴岡市 竣工:2005年 設計:小沢 明
荘銀タクト鶴岡に隣接し、外観は一カーテンウォールの箱型で端正なデザインの建物だが、中に入ると、更に入れ子構造のRC打放しの建物がある。内部は展示スペースで周囲は通路で、景色を垣間見ながら街路を歩く感覚は、タクトより12年前の竣工だが、同じだ。
6.ショウナイホテル・スイデンテラス:山形県鶴岡市 竣工:2018年 設計:坂茂
庄内平野の穀倉地帯の風景を再現した敷地に建つホテル。RC造と木構造による軽快な構造形式が水田の景色に溶け込んでいる。周辺の景色と人の佇まいが美しく融和する空間はとても居心地が良く、闇に包まれる空間での夕食と、明るい陽射しを感じる中での朝食は日々の疲れを癒す。
7.アル・ケッチャーノ:山形県鶴岡市 竣工:2022年 設計:アトリエシグマ建築設計事務所
イタリアンレストラン
庄内平野の景色と共に地元の食材をいただく。
8.国際教育大学図書館(中嶋記念図書館):秋田県秋田市 竣工:2008年 設計:仙田満+環境デザイン・コスモス
中嶋記念図書館は、洋書を中心とした紙媒体やデジタル媒体の資料で構成されるハイブリッド図書館と説明にあります。建物もRC造+S造+木造小屋組のハイブリッドです。そして地産地消の県産材のスギ材が壁面一面の書架とともに優しく感じる空間をつくり出す。
9.秋田市立中央図書館明徳館:秋田県秋田市 開館:1983年 設計:谷口吉生
端正な外観はこの時代の一つの表現。内部の中央には大きな吹き抜けがあり、上部からの光が内部空間の中心性を表現している。この時代の図書館らしさの表現が人の感性を刺激していたが、空間と書架の在り方には時代を感じる。
10.陸中一之宮 駒形神社 式内社:岩手県奥州市 創建:465年頃 一之宮
陸中一之宮・ 延喜式内社。今から1200年前の平安時代に初期の武将、征夷大将軍坂上田村麻呂の由緒があり、緑深く石垣の奥の参道と共に時の流れを感じる神社。大リーガーの大谷翔平選手にあやかった健康と目標達成を願う二刀流のお守りもあり、由緒ある神社も時代の流れに敏感。
11.高田松原津波復興記念公園:岩手県陸前高田市 竣工:2019年 設計:内藤廣
東日本大震災津波伝承館で当時を振り返り、海への軸線の道を歩き、松林越に海を望む土手の上は漣が響く。海を望むこの場は津波の犠牲者への祈りの心が増幅され、帰路の一歩一歩は津波の恐ろしさを肌で感じる。建物に着き、道の駅に入ることで普段の生活に気持ちへと切り替わる。
12.奇跡の一本松ホール陸前高田市民文化ホール:岩手県陸前高田市 竣工2:020年
設計:NTTファシリティーズ・関空間設計
文化ホールに中庭を挟んで中央公民館が併設された施設。外観から文化ホールと一目で分かる佇まい。ショッピングセンターに隣接する町の中心地にある建物でもあり、気軽に市民が立ち寄れる無目的な空間があっても良い気がする。
13.陸前高田アムウェイハウスまちの縁側:岩手県陸前高田市 竣工:2020 設計:隈研吾
家庭用品のアムウェイが寄付を募り建設した複合型コミュニティセンター。インテリアは「ミナ ペルホネン」の皆川明氏が手がけ、縁側というネーミング通りにまちの人と観光客が気楽に立ち寄れる建物。気仙杉による気仙大工の気概と哲学を感じる建物。
14.陸前高田市立博物館:岩手県陸前高田市 竣工:2021年 設計:内藤廣
まちの縁側に隣接し、被災した博物館が再建され、屋上から嵩上げされた街全体を見渡せる。陸前高田市の博物学者である鳥羽源藏と、その愛弟子・千葉蘭児の業績や貴重なコレクションを中心に陸前高田の自然と歴史、文化についての展示は興味深かい。
15.SUMIKAパビリオン陸前高田みんなの家:岩手県陸前高田市 移築:2021年 設計:伊東豊雄
2008年の宇都宮市のSUMIKAプロジェクトの一つが2017年に陸前高田の「まちなか広場」に移築された。幾何学模様の四角い外観の不思議さに引き寄せられ内部に入ると、4本の柱から枝を広げる様な天井の六角形の幾何学模様があり、意外と落ち着く空間。
16.陸前高田みんなの家 2011年11月竣工後2022年にSUMIKAパビリオンの近くに移
設計:伊東豊雄、乾久美子、平田晃久、藤本宗介、写真家畠山達哉によるチーム
海を望む高台に建設された第13回ヴェネチアビエンナーレ国際建築展出品作品を移築し、現在はおかず屋の店の一部。建物のコンセプトは街を見下ろすことが出来る櫓の様な垂直性を強め、皆が共有する記憶を呼び覚ますシンボル性が高く、津波の塩害で枯れた気仙杉を使った建物。
17.陸奥国一之宮鹽竈神社 式外社 :宮城県塩竈市
隣接する志波彦神社は式内社。延喜式より前の奈良時代以前の創建とのこと。現在の社殿は伊達氏により建立され、大鳥居のある境内と共に荘厳な佇まい。
18.宮城県大谷海岸 東日本大震災 宮城県河川海岸復旧・復興環境配慮
地元の要望により、当初計画された海岸側に聳り立つ防潮堤を内陸側に移し、嵩上げした国道45号を防潮堤と一体化させた。その結果、砂浜を残した大谷海岸は元の美しい景色を取り戻すことができた。
19.マルホンまきあーとテラス石巻市複合文化施設:宮城県石巻市 竣工:2021年 設計:藤本宗介
街並みを連想する外観。中は細長い街路上に見立てた通路で、各文化施設への入り口がある。看板に見立てたネームプレートや彫りの深い開口部は、トップサイドライトの光に照らし出され、更に所々に用意された寛ぐ仕掛けなどがあり、賑わいと共に居心地の良い空間になっている。
20.登米懐古館:宮城県登米市 竣工:2019年 設計:隈研吾
仙北平野の広大な水田の中にある登米(とよま)町は、廃藩置県により水沢県庁が置かれ、後の登米(とめ)市とは呼び名が異なる。町はみやぎの明治村として、懐古館、教育資料館、武家屋敷など歴史的建造物が多くあり、懐古館は武家屋敷郡の中にあり、周囲と調和した建物である。
21.馬場都都古別神社 式内社:福島県東白川郡棚倉町 一之宮
陸奥一之宮として崇拝されてきた古社です。日本武尊が農業神として白河市に鉾を祀り、坂上田村麻呂が現在の棚倉城跡に奉還、江戸時代初期の築城に際し、現在の地に奉還された延喜式にある式内社です。中世末期から現代までの建築が存在しますが、参道は苔むして静寂の中にありました。